税理士試験の受験者は減り続ける一方だったのが、最近ついに下げ止まったらしい……との噂を小耳に挟んだので調べてみました。
税理士試験の受験申込者数
税理士試験の受験者の状況は、国税庁のHPで詳細に発表されています。
ここ数年の年度別の「受験申込者数」「受験者数」を一覧にまとめると次のようになりました。
年度 | 受験申込者数 | 受験者数 |
---|---|---|
平成26年 | 49,876 | 41,031 |
平成27年 | 47,145 | 38,175 |
平成28年 | 44,044 | 35,589 |
平成29年 | 41,242 | 32,974 |
平成30年 | 38,525 | 30,850 |
令和1年 | 36,701 | 29,779 |
令和2年 | 35,135 | 26,673 |
令和3年 | 35,774 | 27,299 |
令和4年 | 36,852 |
これをグラフにすると次のとおりです。
確かに、令和2年までは一直線に右肩下がりだったのが、令和3年に僅かに増加に反転、令和4年はさらに微増。本当に下げ止まっていました。
受験者が減ってきた原因として、少子化の影響は限定的だと思われます。税理士試験は30代以上の受験者も多いので、それほど少子化の影響は受けないと考えられるからです。
受験者の増減は、本質的には単純な話で、税理士という資格の魅力が世間にどう映っているかなのだと思います。
つまり、わざわざ試験に挑んでまでして取得したい資格なのかどうかが受験者数に反映されるという意味で、受験者数はその資格の魅力のバロメータであると思うわけです。
それが長期低落傾向にあったというのは、試験で税理士となった筆者にとしては何とも寂しく感じるところがあったのですが、この下げ止まりには安堵を覚えました。
なお、令和3年のときの増加については、コロナウィルスを警戒して令和2年に受験を控えた人が令和3年には受験したから、との分析もあるようです。しかし、令和4年も申込者数が増加していますから、コロナだけでは説明できないようにも思います。来年以降の推移にも注目したいです。
他の士業の受験申込者数
税理士以外の他の士業ではどうなっているのかも気になったので、幾つか調べてみました。
公認会計士試験
公認会計士・監査審査会の発表している願書提出者数をグラフにしました。
なんと、税理士試験とは対照的に一直線の右肩上がりです。
日本屈指の難関試験であるものの、資格の魅力は年々高まっているのでしょう。
司法試験
法務省が発表している出願者数をグラフにしました。
とんでもない勢いで減少しています……。心配です。
司法書士試験
法務省が発表している出願者数をグラフにしました。
長期低落傾向であったところ令和3年から増加に転じる、という税理士試験と非常によく似た動きをしており、興味深いです。
行政書士試験
一般社団法人行政書士試験研究センターが発表している受験申込者数をグラフにしました。
緩い低落傾向を令和元年には脱出して以後増加傾向に。令和3年には7年前の平成26年の水準にまで回復。
今後とも増加しそうな勢いを感じさせます。
社会保険労務士試験
厚生労働省が発表している受験申込者数をグラフにしました。
5万人前後で安定しており、手堅い人気が伺えます。
弁理士試験
特許庁が発表している志願者数をグラフにしました。
長期減少傾向にあったのが平成30年あたりから下げ止まりに入ったようです。
まとめ
職業としての士業の人気が低下しているようなことは巷間囁かれがちではありますが、公認会計士や行政書士のように受験者が増加傾向にある士業が存在するのも事実のようです。