預貯金の取引明細書の発行手数料

相続業務

相続税申告の依頼を受けた税理士は、亡くなった方の通帳を見ます。通帳に記録された取引を確認することで、税務申告に関係する論点の端緒に気付くことが多々あるためです。

通帳が紛失等のためにを見れない場合には、金融機関に手数料を払って取引明細書(※)を発行してもらうことになるのですが、その手数料が高くて躊躇してしまうこともあります。

(※ 金融機関によって名称が異なります。入出金明細、取引履歴、等々。この記事では便宜的に取引明細書に統一しています。)

実際の料金体系

実際に取引明細書の発行手数料がいくらかかるのか、この記事を執筆している時点(令和4年10月)における料金体系について調べてみました。

日本中の銀行を調べるのは骨なので、「メガバンク3行」、「りそな銀行(埼玉りそな銀行含む)」、「ゆうちょ銀行」、それから地銀の代表として筆者の地元埼玉の「武蔵野銀行」をピックアップしました。

銀行名発行手数料(税込)
三菱UFJ銀行1か月あたり 330円
三井住友銀行・(5年以内の期間分)明細1年分につき 1,100円
・(5年超の期間分)5年分の手数料5,500円に加えて、5年を超える明細1か月分につき 550円
みずほ銀行1か月あたり 330円
りそな銀行・埼玉りそな銀行1か月あたり 220円
ゆうちょ銀行1冊の通帳に係る回答につき 1,100円
武蔵野銀行1か月あたり 220円

「1か月330円派」:三菱UFJ銀行、みずほ銀行
「1か月220円派」:りそな銀行、武蔵野銀行
「独自派」:三井住友銀行、ゆうちょ銀行
の3つに大きく分かれるようです。

独自派は個性が強いので、上の表では「三井住友銀行」と「ゆうちょ銀行」のそれぞれのホームページに記載されていた表現をそのまま載せています。

ゆうちょ銀行の表現については少し分かりにくいかもしれないので補足します。
「1冊の通帳に係る」というのは「ひとつの口座番号につき」の意味です。また、他行のような「1か月あたり」といった従量制にはなっていません。

年単位で発行すると結構な額に

330円とか220円とか聞くと大した金額ではないように一瞬思ってしまいます。

しかし、過去数年分の動きを確認するために取引明細書を入手するのですから、実際には数年分をまとめて発行することになり、その手数料も相応の金額になってしまいます。

3年分(36か月分)、5年分(60か月分)、10年分(120か月分)の手数料を試算すると次のようになります。

区分3年分5年分10年分
【1か月330円】
三菱UFJ銀行
みずほ銀行
11,880円19,800円39,600円
【1か月220円】
りそな銀行
武蔵野銀行
7,920円13,200円26,400円
三井住友銀行3,300円5,500円38,500円
ゆうちょ銀行1,100円1,100円1,100円

上記は一つの口座あたりの金額です。複数の口座で取引明細を入手するとなるとトータルの負担はかなり重くなりがちです。

ゆうちょ銀行は例外的な存在で、こうして並べるとその安さが際立ちます。
しかもつい最近までは550円でした。倍の1,100円に値上げされたときは、筆者のなかで「してやられた」感が湧いたものでしたが、今となっては反省してます。他行に比べたらまだまだ圧倒的に安い。発行される書面もA4サイズ縦型で扱い易くて見易い。ゆうちょ銀行の取引明細書は相対的に良いとこずくめです。

ご遺族が多額の手数料を負担しないで済むように

このように、過去の通帳を処分あるいは紛失してしまっていると、後々に取引明細書の発行でご遺族が多額の手数料を負担しなければならないことがありえます。

予防策としては「Web通帳への完全移行」がひとつの解答なのかもしれません。銀行が取引明細書の発行手数料を高くしているのも、Web通帳への移行を促したい背景があるためのような気もします。

しかし、ご高齢の方にとってWeb通帳は敷居が相当高いように思われます。

そうなると、「紙の通帳を捨てずにきちんと保管しておく」、当たり前といえばそれまでですが、やはりこれに尽きると言えそうです。