相続税の納付~納付書を使って金融機関の窓口で納付する方法~

相続税

相続税を金銭で納付する方法にはいくつか種類がありますが、最も一般的なのは「納付書を使って金融機関の窓口で納付する方法」です。

納付書の準備の仕方や窓口となる金融機関について解説します。

納付書の準備

用紙を入手

相続税の納付書の用紙は、最寄りの税務署で入手することができます。税務署の窓口で、納付書の用紙を取りに来た旨とあわせて次の3点を伝えましょう。

  1.  相続税申告書の提出先の税務署名
  2.  税目が相続税であること
  3.  枚数

そうすると《税務署名・税務署番号》および《税目名・税目番号》がプリントされたものを指定した枚数用意してくれます。手数料はとられません。

納付書には《税務署名》と《税務署番号》の欄があります。ここには相続税申告書の提出先の税務署、つまり一般的には「被相続人の住所地の所轄税務署」の名とその番号が記入されている必要があります。
その「被相続人の住所地の所轄税務署」の名と番号が記入された納付書は、その所轄税務署以外の税務署であっても、上述のように窓口で注文すれば適宜印刷をして用意してくれます。よって、その所轄税務署が遠くにある場合にはわざわざそこまでいかなくても、最寄りの税務署にいけばそこで入手可能です。

すべて空欄の納付書をもらって自分で《税務署名・税務署番号》および《税目名・税目番号》を記入することもできます。しかし、調べる手間や書き損じのリスクを考えると、空欄に自分で記入するより税務署で印刷してもらった方が無難です。

納付書の用紙は税務署以外にも金融機関の窓口に備え置かれていることがあるようです。ただ、在庫切れしているときもあるので、確実に入手したいならば税務署に行った方が安全です。

記入

記入方法についての基本的な事項は、記入欄の脇の余白や用紙の裏面に書いてあります。

ただ、相続税の納付書として使用するときに、記入欄の脇の余白や用紙の裏を見ただけではどう書くべきか記入に迷ってしまいがちな箇所がいくつかあります。

申告区分欄

期限内申告に伴う納付である場合には「4 確定申告」にマルを付けます。

相続税法において相続税の「確定申告」という用語は存在しませんので、本当にこれで良いのか迷うところです。それでも選択肢のなかではこれが最もニュアンス的に近いと感じるので仕方なくこれにマルをします。

住所欄

「亡くなった人」と「財産を取得して税金を納める人」の2段書きにします。

上段に「被相続人:A県B市C町X-X-X」、下段に「相続人:D県E市F町X-X-X」といった具合です。

なお、この住所欄の内側にある電話番号欄には、財産を取得した人の電話番号だけを書きます。

氏名欄

ここも、「亡くなった人」と「財産を取得して税金を納める人」の2段書きにします。

上段に「被相続人:〇〇△△」、下段に「相続人:〇〇◇◇」といった具合です。

なお、この氏名欄の内側にあるフリガナ欄には、財産を取得した人のフリガナだけを書きます。

金融機関の窓口へ

納税資金の入った普通預金口座から支払い

金融機関の窓口に、納付書と併せてその金融機関に預けている預金口座の通帳届出印を持参しましょう。

金融機関の窓口にて、その金融機関に預けている預金口座から納付税額相当をその場で引き落として納税に充てる手続きをとることができます。

引き落としの具体的な手続きのやり方は金融機関ごとにそれぞれあるでしょうから、その金融機関の方に声を掛けて、その案内に従えば大丈夫です。

金融機関の窓口に予め用意した紙幣や硬貨といった現金を持参するやり方でも納付はできますが、相続税の納付額が高額であるほどに、多量の札束を街中で持ち歩くことに伴うリスクにさらされますので、あまりお勧めできません

どの金融機関の窓口が対応しているのか?

大雑把に言うと、名前に「銀行」「信用金庫」がつく金融機関の有人店舗の窓口であれば、納付書を使った納付ができることがほとんどです。

具体的には、日本銀行HPのなかの次のリンク先で見ることができる「一般代理店」「歳入代理店」の一覧に載っている金融機関の店舗の窓口です。

国庫金・国債の窓口 : 日本銀行 Bank of Japan

これらの一覧を見ると、ほとんどの銀行や信用金庫の店舗が該当するのが分かります。そのいっぽうで、新興の流通系銀行や一部の信用組合や農協の支店などがここに載っていないのも見て取れます。

このように、ほとんどの銀行や信用金庫などの店舗で大丈夫なのですが、もしかしたら目当ての金融機関の店舗が対応していないということもありえます。念の為事前に、上記の日銀HPの一覧で確認してみるか、その金融機関の店舗に電話で問い合わせしておくと万全だと思います。

もう少し詳しく説明すると、日本国に対して税金を金銭で納付するということは、つまるところ日本銀行にある政府の預金口座に入金をすることです。

したがって、納税者が日本銀行の口座に入金する手続きをする窓口として、理屈の上でまっさきに挙げられるのは日本銀行の本支店のそれということになります。しかしながら、日本銀行の本店は東京に支店は各地に32箇所あるものの、日本全国の納税者が窓口として利用するには利便性に難があります。

そこで、日本銀行は税金を受け取る業務について民間の金融機関の店舗に代理店になってもらい、日本国内に万を超す窓口が存在する体制を構築しています。

日銀HPから「一般代理店」「歳入代理店」の説明を引用します。

◆一般代理店
“国庫金の受入・支払や政府有価証券の取扱いのほか、国債の元利金の支払など広範な事務を取扱う代理店で、その事務内容・機能は日本銀行の支店におけるものとほぼ同様です。”

◆歳入代理店
“国庫金の受入のみを専門に取扱う代理店です。”

税理士に依頼

一般の方が相続税の納付書の準備をするとなると、それなりに大変です。

税理士に相続税申告を依頼していれば、納付書の準備についても税理士が行います。金融機関の窓口に関することでも助言をします。また、場合によっては、金銭納付について「納付書を使って金融機関窓口で納付する方法」以外のより良い方法があれば、そういう納付方法の提案ができるかもしれません。

専門家である税理士にお気軽にお声をかけていただければと思います。

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