倍率地域の土地の評価は本当に簡単なのか?

財産評価
Mike GoadによるPixabayからの画像

倍率方式による土地評価の算式は次のとおりです。非常にシンプルです。

 固定資産税評価額 × 倍率

このシンプルさゆえに、倍率地域の土地の評価は、路線価地域のそれに比べて簡単であるように思われがちです。

具体的には何が「簡単」なのか

路線価方式での土地評価においては、その土地に面する路線に付された路線価に各種補正率を加味する等の調整をすることになります。実務上はこうした調整をするために根拠となる図面を用意する等、色々手間がかかるものです。

この点、倍率方式の土地評価においては、各種補正率を加味する等の調整が固定資産税評価額にすでに必要に応じて織り込まれているはずなので、あらためて納税者側でこうした各種補正率を加味する等の調整をする必要がないことになります。この各種補正率を加味する等の調整をする必要がないこと、ひいては調整の根拠資料を用意する手間がかからないことが、簡単であるとされる所以です。

倍率地域の土地でも路線価地域と同様な調整が必要となることがある

確かに多くの場合は上述のようなシンプルな算式で掛け算をすれば大丈夫です。調整について気にしなくてもよいでしょう。

しかし例外があります。

たとえば次のような特殊な論点が絡むと、倍率地域の土地であっても路線価地域の土地のような各種補正率を加味する等の調整が必要になる場合があります。

・ 市街化調整区域の雑種地
・ 地積規模の大きな宅地
・ 特定の者の通行の用に供される私道

なお、雑種地については、路線価地域の土地については適用されない特殊な斟酌割合を加味することが必要になることもあり、そうなるとむしろ路線価地域の土地の評価よりも難度が上がってしまいます。

シンプルな倍率方式の算式のなかにも落とし穴が

倍率方式の算式のなかにも思わぬ失敗につながる要素が潜んでいます。

固定資産税評価額は、その土地の固定資産税における地目(課税明細書などには「課税地目」と題されています)に応じて評価されたものです。固定資産税の課税地目が「田」であれば、固定資産税評価額は「田としての固定資産税評価額」になっている、といった具合です。

その固定資産税における地目が現況と異なってしまっていることがまれによくあります。例えば、固定資産税の課税地目が「田」であるのに、現況はどうみても「畑」であるようなケースです。

土地評価は現況に従ってなされるべきなので、現況とは異なる地目の固定資産税評価額を倍率方式に用いるのは理論上よろしくありません。
まずは現況の地目に応じた固定資産税評価額を算出し、そこに現況の地目の倍率を乗じるという方法で計算するのが正しいといえます。

このような地目のくいちがいは、ブルーマップや公図を持って現地を視察することで明らかになることがあります。地道な手間を惜しまない方がよさそうです。

まとめ

何事もそうですが「簡単だ」「誰にでもできる」と慢心していると、えてして地獄の一丁目に足を踏み入れているものです。

一見簡単そうに見える倍率地域の土地評価であっても、きちんとやるべきときは細心の注意が必要です。

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