土地評価をするときに実際に現地を見るのは苦労も多いがとても大切

相続業務

相続税や贈与税などの申告にあたって、土地の評価が必要にあることがあります。

より良い土地評価のためには情報収集が欠かせません。収集すべき情報のなかには、現地に行くことでしか分からないこともあります。評価対象の土地を実際に訪れて観察することを、我々の業界では「現地調査」と呼びます。

今はGoogleMapのストリートビューを使えば事務所にいながら簡易に現地の様子を伺うことができて「もうこれを見れば十分なのでは」と思いかけてしまうほど大変便利なのですが、それでも現地調査をしないと気が付かないことはありストリートビューだけでは見落としをしてしまう恐れがあるように感じます。

ですので、筆者は税理士として土地の評価をする場合には、ほぼ必ず実際に現地を訪れるようにしています。

現地でやること

現地に行く前におこなった下調べで把握した情報が実際のところどうなのか、自分の目で確認します。また、その他にも「何か」がないか、注意して見てまわります。そして、記録として写真を撮り申告書に添付します。

そのうえで、必要に応じて土地の間口距離や道路の幅員などをメジャーで測量するケースもあります。

苦労することも

怪しいものではありません

本人としてはより良い土地評価のために頑張って仕事をしているつもりなのですが、他人の目には「不審者」に映ることもあるようです。カメラをもって街をウロウロしている中年男ですから、まぁ怪しまれても無理はないのかもしれませんね・・・。

「あんた、何やってんの」と近隣住民の方に声をかけられたこともありました。こういうときは卑屈にならず堂々と正直に事情を説明すると分かってもらえました。

下校中の小学生たちにやたら挨拶をされることもありました。これはおそらく「不審者にはこちらか挨拶をして怯ませろ」という指導があったためでしょう。小学生たちにイチイチ事情を説明していたら余計「怪しい人」の印象を深めてしまいそうで、結局何もできず途方にくれつつやり過ごすしかありませんでした。

あと、犬に吠えられることもありました。ご近所の庭にいる番犬が「不審者」を威嚇してくるわけです。犬を説得する術があるはずもなく、これもどうしようもなく吠えられるままにするしかなかったです。一方的に敵意にさらされ続けるのは、ある意味一番堪えます。

大自然の洗礼

現地調査は屋外での作業となりますので、できるだけ穏やかな天気の日に実施するように心がけます。

それでも諸般の事情で崩れそうな空の日に強行せざるを得ず、まんまと一雨くらってしまうこともあります。雨の日の現地調査は、靴やズボンが汚れるし、持参した資料が濡れてしまうし、写真の写りが悪くなるし、憂鬱なデメリットだらけです。

それから、真夏。猛暑日・酷暑日は気を付けないと文字通り命取りになりそうです。あと、草が生い茂る土地で測量していると虫に刺されまくります。

やらずに後悔したくない

冒頭で現地に行くことでしか分からないこともある旨を書きました。しかし現実には、事前に下調べした内容が正しかったことの確認に留まり、現地でしか得られないことは特段なかった、という結果に終わることは決して珍しくありません。

では、現地調査はもっと省略してもよいのでしょうか?

自動車運転の心得として「だろう運転/かもしれない運転」があります。例えば「横断歩道の近くに人がいるけど渡らないだろう」と都合よく考えてする運転が「だろう運転」、「横断歩道の近くに人がいるので渡るかもしれない」と敢えて危険な状況を予測してする運転が「かもしれない運転」です。安全運転のためには「かもしれない運転」が推奨されます。

土地評価に関しても同じです。「現地調査をしても何も見つからないだろう」という「だろう評価」よりも、「現地調査をしたら何か見つかるかもしれない」という「かもしれない評価」を目指すべきでしょう。

後悔しないために現地調査は極力実施すべきだと思っています。