相続税がかかったらどうしよう、とお悩みではありませんか?
相続税がかかるかどうかは基本的に、遺産が「相続税の基礎控除」を超えるか否かによって決まります。
そもそも「基礎控除」って何?
相続税の基礎控除の話に入る前に、基礎控除の一般論について説明します。
税金の計算において控除と名の付くものはたくさんありますが、残念ながら通常は、そうした控除を適用するためにはそれぞれ様々な条件を満たさなければならず、どんな場合でも適用出きるわけではないものばかりです。
しかし、原則として誰でも無条件に適用できる「基礎的な控除」も存在します。それが基礎控除です。
相続税の基礎控除は相続税の計算のどこで使われるの?
控除というのは、平たく言えば「引き算をすること」を意味します。
相続税の基礎控除についても、相続税の計算のなかのどこかで何かから引き算をすることになるわけです。
それでは、相続税の基礎控除は、どこで何から引き算をするかというと、
税率をかける前の段階で、相続税の課税価格の合計額から、引き算をします。
ここで「相続税の課税価格の合計額」という耳慣れない用語を使いましたが、
相続税の課税価格の合計額とは、敢えて簡単に言い換えると、亡くなられた方が遺した財産を評価した金額の合計額のことであり、さらに思い切ってもっと手短にいえば、遺産の金額のことです。
相続税の基礎控除を超えること/超えないことの意味
相続税の計算は、
相続税の課税価格の合計額(遺産の金額)から基礎控除額を引き算し、
その引き算した後の残額に税率をかける、
という仕組みになっています。
ここで、遺産の金額が基礎控除を超える、あるいは、超えないことの意味について考えてみましょう。
相続税の課税価格の合計額(遺産の金額)が基礎控除を超えるとは――、
⇒引き算した残額がある
⇒残額に税率を乗じることができる
⇒税額が算出される
⇒相続税がかかる(可能性がある)
ということを意味します。
相続税の課税価格の合計額(遺産の金額)が基礎控除を超えないとは――、
⇒引き算した残額がない
⇒残額に税率を乗じることができない
⇒税額が算出されない
⇒相続税がかからない
ということを意味します。
このように、相続税がかかるかどうかの判定は、「相続税の課税価格の合計額(遺産の金額)」と「相続税の基礎控除額」の大小関係によって概ね決まります。
基礎控除額の計算式
基礎控除額は次の計算式で算出した金額です。
3,000万円 + 600万円 × 相続人の数
相続人が一人もいなければ 3,000万円
相続人が一人ならば 3,600万円
相続人が二人ならば 4,200万円
相続人が三人ならば、4,800万円
相続人が四人ならば、5,400万円
……といった具合になります。
計算式の中の変数である「相続人の数」の「相続人」は、基本的に民法の規定するところの相続人です。
簡単に解説
どのような人が相続人になるのかについて簡単に解説します。
相続人は「配偶者相続人」と「血族相続人」に大別されます。
配偶者相続人
亡くなった方の配偶者が存命であれば、その配偶者は相続人になります。
血族相続人
亡くなった方と血の繋がりのある方(血族)も相続人になります。
ただし、血が繋がっていれば誰でもOKというわけではなく、次の表の3種類のカテゴリーにあてはまる方に限定されます。
さらに、これらカテゴリーには順位があり、より上位のカテゴリーに該当する人がいる場合には下位のカテゴリーの人は相続人にはなりません。
順位 | 血族の種類 |
---|---|
第1順位 | 子などの直系卑属 |
第2順位 | 父母などの直系尊属 |
第3順位 | 兄弟姉妹 |
細かいルールは意外と多い
上記のとおり相続人になる人についてザックリと解説をいたしましたが、実は民法上の相続人の判定にはこの記事では触れていない細かいルールがたくさん存在しています。
さらに、相続税の基礎控除の計算における「相続人の『数』」についても、相続税法のなかで特殊なケースについての若干の細かい規制が設けられています。
したがって、相続人の数――ひいては相続税の基礎控除――の論点は、実は意外と奥深いのです。
そうは言っても多くの場合は、「配偶者」および「子」が相続人となる、という結論に落ち着き、応用的なルールに引っかかることはほとんどないものと思われます。
いっぽうで、もしも相続人の判定で「配偶者や子以外が該当するかもしれない」「これってどうなるのだろう…」と少しでも疑問が残るときは、無理に自分で結論をだそうとせずに、専門家に相談することをお勧めします。