筆者には長年愛用している電卓があります。大切に使ってきたつもりでしたが、頻繁に使うボタンが接触不良気味になってしまいました。
手に馴染んだ道具としてこれからも日々使い続けたいので、思い切って修理に挑戦してみました。
SHARP EL-G35
今回修理するのは、シャープから発売された「EL-G35」という機種です。
いつ購入したか記憶が曖昧になっています。税理士試験にこれを使っていた記憶はあるので、もしかしたら20年弱くらい、ずっと愛用していることになります。
接触不良気味のボタン 「CA(クリアオール)」
接触不良気味になってしまったのは、 右上 にある「CA(クリアオール)」のボタンです。
押してみても必ずしも反応がなく、2度3度と押さないと反応しなくなってきてしまいました。
「CA(クリアオール)」 は、電卓内のデータをすべて消去するときに押すボタンです。また、電源を入れる時もここを押します。計算を開始するときに押し、計算が終わるときも都度押すわけです。
使用頻度が非常に多いがゆえに、摩耗等して接触不良になってしまったのだと思います。
ヴォエ!
あらためて拡大してよく見てみると、手垢みたいなのが溜まっていて汚い……。掃除もしなければ。
分解
まずは、裏側のネジ6本をはずして分解。
基板のネジも外します。
基板を持ち上げると、キーと基板の間にある「ラバードーム」が現れます。
ボタンを押すと、ラバードームの黒い部分が基板に押し当てられ、黒い部分を電気が通ってそこの回路がオンになる、という仕組みのようですね。
側を取り外すことも出来ました。
折角なので水洗い。
水洗いしたパーツが乾くまでの間に、そのほかのパーツもアルコールを染み込ませたティッシュで拭き掃除。
アルミホイルで接点復活
接触不良はラバードームの黒い部分が駄目になってしまうことが原因(らしい)。
そこで、その黒い部分のうえに、電気を通す素材であるアルミホイルを貼り付けます。
アルミホイルを丁度良い大きさに切り出して……
瞬間接着剤で貼り付け。
「これで大丈夫なはず!」と意気込んで組み立て。
写真ではまったく伝わりませんが、一発で反応するようになりました。
修理成功です。
感想
やってみると意外と簡単です。掃除をするいい機会にもなりました。
また「道具の手入れ」という行為そのものを楽しんでいる自分を発見しました。
ところで、この記事を読んだ方のなかには「修理するくらいなら買い替えた方がいいのでは?」というご感想を抱いた方がいるかもしれません。実は筆者も買い替えが頭をよぎりました。調べたところ「EL-G35」は既に販売終了しているものの、後継機種の「EL-G37」が発売中ですので、これに乗り換えようかとも思ったのです。
しかし、使い込んで手に馴染んだ電卓がある人にとっては、そう易々と新しい電卓に買い替えられないものです。「EL-G37」は「EL-G35」よりもサイズが少しだけ大きいようなのですが、それだけで 「EL-G37」 に買い替える気が減退しました。どうにかして今ある「EL-G35」を使い続けられないかと考え、思い切って修理を実行するに至った次第です。
今回の修理で一層愛着が湧きましたし、またどこか不調になっても修理で克服できる希望がもてました。筆者の愛機としてまだまだ活躍してもらいたいと思います。